「朝畑に行ったら、サツマイモの畝がごっそり掘り返されていた」「気づいたら田んぼの端だけきれいに踏み荒らされていた」──そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。獣害が一度始まると、収穫目前の作物が一晩でダメになることもあり、精神的にもかなりきついものです。
この記事では、害獣対策の中でも「柵（防獣フェンス・ネット・電気柵など）」に焦点を当てて、種類ごとの特徴や選び方、イノシシやシカなど動物別のポイント、設置ステップまでをまとめます。読み終わるころには、「自分の畑にはどんな柵が合いそうか」「どこから手をつければ良いか」がイメージできる状態を目指します。
目次
害獣対策で「柵」を検討するときに押さえたい基本ポイント
まずは、「害獣対策 柵」を選ぶ前に押さえておきたい基本の考え方から整理していきます。やみくもに防獣フェンスを立てても、動物の種類やルートに合っていないと、簡単に突破されてしまうこともあります。
なぜ「柵」が獣害対策の軸になるのか
害獣対策には、忌避剤・音や光で驚かす装置・わな・見回りの強化など、さまざまな方法があります。その中で柵（防獣柵・防獣フェンス・防獣ネット・電気柵など）は、「畑と獣の間に物理的な壁をつくる」対策です。
一度きちんと設置できれば、毎日張り替える必要がなく、長期間にわたって圃場を守ってくれるのが大きなメリットです。逆に、設置時の高さや隙間、支柱の強度などが甘いと、「ここさえ直しておけば…」というポイントから突破されてしまいます。
「柵を立てたのに、イノシシに鼻先で持ち上げられてしまった」という声も現場ではよく聞きます。こんなもったいない失敗を減らすためにも、基本の考え方を押さえておきたいところです。
「どんな被害が、どこから来ているか」を先に整理する
柵を検討する際は、次のような点を紙に書き出してみると整理しやすくなります。
- 主な被害の動物：イノシシ・シカ・サル・タヌキ・ハクビシン・野良猫・犬 など
- 被害の場所：畑の一辺だけ／四方から／山側の境界だけ／用水路側 など
- 被害の時間帯：ほとんど夜間／明け方が多い／昼間も入ってくる など
- 圃場の形・面積：家庭菜園程度の小さな畑／数反〜の本格的な圃場 など
「とりあえずぐるっとフェンスを張ってみたけれど、結局出入り口のところから入られてしまった」というケースも少なくありません。どこを守り、どこに出入口をつくるかも含めて計画できると、後の手戻りが減ります。
害獣対策用の柵の種類と特徴（防獣フェンス・ネット・電気柵など）
ここでは、上位ページにも多く登場している代表的な柵の種類を、「金網柵（ワイヤーメッシュ）」「防獣ネット柵」「電気柵」の3つに分けて整理します。それぞれに得意・不得意があるので、圃場の状況や動物の種類に合わせて組み合わせていきましょう。
金網柵・ワイヤーメッシュフェンスの特徴
金網柵（ワイヤーメッシュフェンス）は、鉄線を格子状に組んだ防獣フェンスです。上位ページでも「イノシシ・シカ侵入防止 金属柵」「ワイヤーメッシュ柵」といった商品が多く紹介されています。
- メリット：強度が高く、イノシシやシカに押されても破れにくい／長距離（100m以上）の柵にも対応しやすい
- デメリット：資材が重く、支柱・杭もがっちりしたものが必要／傾斜地や複雑な地形では施工がやや大変
山あいの圃場で「イノシシとシカ、どちらも来る」という相談では、ワイヤーメッシュフェンスを主軸にするケースが多い印象です。家庭菜園というよりは、ある程度しっかり獣害対策に投資する前提の圃場向きと考えるとイメージしやすいかもしれません。
防獣ネット（ネット柵）の特徴
防獣ネット柵は、ポリエチレンなどのネットを支柱に張って使うタイプの柵です。コメリやモールのページでも「動物よけネット」「アニマルフェンス」といった名前で扱われています。:contentReference[oaicite:12]{index=12}
- メリット：資材が軽く、持ち運び・設置がしやすい／家庭菜園やドッグラン、庭の花壇などにも使いやすい
- デメリット：強度は金網柵より劣る／イノシシなど力が強い動物には、支柱や固定方法の工夫が必須
「まずは被害がひどい一部分だけでも囲ってみたい」「家庭菜園の周りを簡単に囲みたい」といった方には、防獣ネット柵からスタートするのも一つの方法です。
電気柵の特徴と向き・不向き
電気柵は、電牧器から電気を流した導線や電気ネットを張り巡らせ、触れたときのショックで近寄らせない対策です。「電気柵」「ソーラー式本体」「関連機器」といったキーワードも上位ページではよく見られます。:contentReference[oaicite:13]{index=13}
- メリット：設置資材は比較的軽く、慣れると広い面積をカバーしやすい／高さや段数を調整しやすい
- デメリット：バッテリー管理や通電チェックなど、運用の手間がかかる／草が伸びて電線に触れると漏電しやすい
「最初のうちはまめに見回っていたけれど、忙しくなって電気が切れっぱなしになった」という話もよく耳にします。電気柵は非常に強力な選択肢ですが、日々のメンテナンス時間を確保できるかどうかも合わせて検討したいところです。
ここで紹介したような柵・ネット・電気柵は、農業屋オンラインショップでもカテゴリごとにまとめて確認できます。まずはラインナップを眺めて、「このくらいの高さ・価格帯なら検討できそうだ」といったイメージづくりに使っていただくのもおすすめです。
農業屋オンラインショップでチェックしたい関連商品
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防獣フェンス・防獣ネット：
イノシシ・シカ・タヌキなどの侵入を減らしたい方に向けた代表的な資材です。まずはこちらのラインナップから、おおよその費用感や高さのイメージをつかんでみてください。 -
支柱・杭・固定資材：
柵のぐらつきや傾きを減らすために欠かせない資材です。土質や傾斜に合わせて選びやすいように整理されています。 -
電気柵・関連機器：
被害が大きい圃場や、広い面積を守りたい場合に検討したいセットです。発電機や本体・コード類をまとめて確認できます。
動物別に見る、おすすめの柵の高さと組み合わせ方
同じ柵でも、「イノシシには効いたけれどシカには飛び越えられてしまった」「タヌキが下をくぐり抜けてしまった」といったことが起こりがちです。ここでは代表的な動物別に、目安となる高さや気をつけたいポイントを整理します。
| 動物 | おすすめの柵の高さの目安 | ポイント |
|---|---|---|
| イノシシ | およそ80〜120cm程度 | 鼻先で持ち上げられないよう、地面との隙間を小さくする／ワイヤーメッシュや電気柵を複数段で張ると効果的 |
| シカ | 150cm以上を目安 | ジャンプ力が高いため、高さをしっかり確保する／金網柵＋上部ネットで「高さ感」を出す工夫も有効 |
| サル | 180〜200cm程度 | よじ登りやすいので、ネットや電気柵で「つかまる場所」を減らす／枝や法面を足場にされないよう周囲も確認 |
| タヌキ・ハクビシンなど小動物 | 高さよりも下部の隙間が重要 | メッシュの目を細かくし、地際をしっかり固定する／用水路や排水口の隙間から入りやすいので要チェック |
あくまで目安ですが、「高さ」と同じかそれ以上に、地面との隙間・支柱の強度・開口部（出入口）の作り方が効き目を左右します。心当たりのある方もいらっしゃるかもしれません。
「自分の畑にはどの高さがいいのか」「イノシシとシカが両方来る場合はどう組み合わせたらいいのか」など、迷う点があれば、お近くの農業屋のスタッフに状況をお聞かせください。動物の種類や圃場の条件に応じて、金網柵・防獣ネット・電気柵の組み合わせ方をご提案することもできます。
農業屋でよく相談される害獣被害と、柵選びの失敗例
ここからは、農業屋の店頭や現場でよく耳にする「柵選び・設置の失敗パターン」をいくつかご紹介します。「あ、うちもこれに近いかも」と感じるところがあれば、対策の見直しポイントとしてチェックしてみてください。
失敗例1：高さは足りているのに、下をくぐられてしまう
「イノシシ用の高さは意識していたのに、よく見ると防獣フェンスの下側に数センチの隙間があり、そこから土を掘り出されて突破されていた」というケースは、現場でよく見られます。
- 地面が柔らかく、支柱が徐々に沈み込んで隙間が広がってしまう
- 傾斜地で柵が一直線にならず、一部だけ地面から浮いてしまう
このような場所では、アンカーピンや追加の杭でネットや金網を地面に押さえる、あるいは下部だけ別のメッシュで補強するといった工夫が効いてきます。
失敗例2：支柱・固定が甘く、数日で柵が傾いてしまう
家庭菜園でよくあるのが、「支柱を手で押したらすぐに揺れてしまう」パターンです。普段は問題なく見えても、イノシシが体重をかけるとあっさり倒れてしまうこともあります。
- 細い園芸支柱だけで防獣ネットを支えている
- 支柱の打ち込みが浅く、風で全体が揺れてしまう
防獣柵として使う場合は、専用の防獣杭や太めの支柱を使い、地中にしっかりと打ち込むことが重要です。「このくらいでいいだろう」と妥協した部分が、あとから大きな差になってしまうのはもったいないところです。
失敗例3：電気柵を導入したが、運用が続かない
「初年度はこまめに電圧をチェックしていたが、2年目から忙しくて見に行かなくなり、その隙に突破されてしまった」という声もあります。電気柵は非常に効果的ですが、
- バッテリー充電やソーラーの状態確認
- 草刈り（下草が当たると漏電しやすい）
- 出入口の閉め忘れチェック
といった日々の管理が欠かせません。「そこまでの手間をかけられそうにないな」と感じる場合は、金網柵＋一部だけ電気柵で補強するなど、組み合わせ対策も視野に入れてみてください。
「うちの圃場も、どこかに弱いところがありそうだ」と感じた方は、一度農業屋のスタッフに現状をお話しください。被害が出ている場所の写真や、獣の足跡・フンなどの情報があると、より具体的に柵選びや設置方法を一緒に考えやすくなります。
現場スタッフが見てきた「効く柵・効かない柵」の違い
同じ「防獣フェンス」でも、よく効いている圃場と、いつの間にか突破されてしまっている圃場があります。ここでは、農業屋の現場スタッフが見てきたポイントを整理してみます。
圃場の地形・土質に合った支柱・杭選び
柔らかい畑の土に、細い支柱を浅く差しただけでは、時間とともに必ず傾いてきます。反対に、砂利混じりの固い土に長い杭を打とうとして作業が進まない、ということもあります。
- 柔らかい土 → 太めの支柱＋長めの杭で、深くしっかり打ち込む
- 固い土 → 打ち込みやすい位置を選び、場合によっては下穴を掘る
- 斜面 → 支柱の間隔を詰める・短い支柱と長い支柱を組み合わせる
現場でよく見るのは、「資材自体は良いのに、支柱・杭の選び方でもったいない」パターンです。柵の耐久性やコストパフォーマンスを上げるためにも、柵本体だけでなく支柱・固定資材の選定も意識してみてください。
開口部（出入口）の作り方と運用ルール
「ぐるっと囲ったのに、毎日出入りしている箇所からだけはロープで軽く締めているだけだった」ということも少なくありません。動物は、人が出入りしやすい場所を選んで突破してくることも多いです。
- 出入口には専用の門扉や簡易ゲートを設ける
- 電気柵の場合は、開閉しやすい専用ゲートを使う
- 家族や作業者全員で「閉め忘れ防止」のルールを共有する
効いている柵ほど、「出入口がしっかりしている」「開け閉めのルールが決まっている」印象があります。少しの手間ですが、被害の有無につながる大事なポイントです。
柵だけに頼らない「組み合わせ対策」の考え方
最近の獣害対策では、柵＋電気柵＋忌避用品＋耕作放棄地の草刈りなど、複数の対策を組み合わせる考え方が一般的になりつつあります。
- 金網柵や防獣ネットで物理的に囲う
- 出入口や弱い部分だけ電気柵で補強する
- 被害が集中する箇所に忌避用品を併用する
「1つの対策ですべてを解決しよう」と思うと、どうしても限界があります。逆に、いくつかの対策を組み合わせることで、動物にとって「ここは入りづらい場所」という印象を持たせられれば、被害がぐっと減ることもあります。
害獣対策柵の基本的な設置ステップ
最後に、初めての方でもイメージしやすいよう、害獣対策用の柵を設置する際のおおまかなステップを整理します。実際の作業では、商品ごとの説明書も必ず確認してください。
STEP1：計画編 ― 被害状況と予算を整理する
いきなり資材を買いに行くのではなく、次のような点を整理してから検討を始めるとスムーズです。
- 守りたい範囲の大きさ（1辺何mか、全体でどのくらいか）
- 主な害獣の種類（イノシシ・シカ・サル・タヌキ・ハクビシン など）
- 予算の目安（今年どこまで投資するか、来年以降どう拡張するか）
ざっくりしたラフスケッチでも構わないので、圃場の形と入り口・被害箇所を書き出しておくと、農業屋の店頭でスタッフと話すときにも役立ちます。
STEP2：施工編 ― 支柱間隔・高さ・張り具合をチェック
実際の施工では、次のポイントを一つずつ確認しながら進めると失敗が減ります。
- 支柱の打ち込み：柔らかい土では深めに、固い土では位置を調整しながらしっかり固定
- 支柱間隔：金網柵や防獣ネットの場合は、たわみが出ないよう適切な間隔を意識
- 柵の高さ：イノシシ・シカ・サルなど、想定している動物に合わせて十分な高さを確保
- 下部の隙間：地面との間に隙間ができないよう、アンカーピンなどで地際を押さえる
途中で「少し楽をしてしまった場所」が、あとで狙われやすい弱点になることもあります。特に、角や傾斜がきつい場所などは丁寧に確認したいところです。
STEP3：維持管理編 ― 壊れやすい箇所と定期点検の習慣
柵を設置したあとは、「張ったら終わり」ではなく、次のような点を定期的に確認する習慣をつけると安心です。
- 強風や大雨のあとに、支柱や金網・ネットが傾いていないか
- 出入口の開け閉めがきちんとできているか、ロープや金具が緩んでいないか
- 電気柵の場合は、電圧やソーラーパネルの状態、下草との接触など
「ついでに畑を見に行くタイミング」で軽くチェックしておけば、小さな不具合のうちに手当てできます。結果的に、柵の寿命やコストパフォーマンスも良くなっていきます。
これらのステップで使う防獣フェンス・ネット・支柱・杭・固定資材・電気柵本体などは、農業屋オンラインショップでもまとめて確認できます。設置手順をイメージしながら、必要になりそうな資材をリストアップしてみてください。
農業屋オンラインショップでチェックしたい関連商品（設置・メンテナンス編）
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防獣フェンス・防獣ネット：
実際に囲う範囲や高さを決める際に、寸法やメッシュの細かさを確認しておきましょう。 -
支柱・杭・固定資材：
土質や傾斜に応じて選べるようになっているので、「どのタイプを組み合わせるか」を検討する際のヒントになります。 -
電気柵・関連機器：
ソーラータイプやバッテリー式など、運用の手間や設置環境に合わせて比較してみてください。
まとめ
- 「害獣対策 柵」で検索する多くの方は、すでに獣害を経験し、具体的な防獣フェンスや防獣ネット・電気柵の導入を検討している段階にあります。
- 金網柵（ワイヤーメッシュ）、防獣ネット、電気柵はそれぞれ得意・不得意があり、動物の種類や圃場の条件に合わせた使い分け・組み合わせが重要です。
- イノシシ・シカ・サル・小動物など、動物ごとに「高さ」「隙間」「メッシュの細かさ」のポイントが異なります。特に地際の隙間や出入口の作り方は、失敗の原因になりがちな要注意ポイントです。
- 効く柵と効かない柵の違いは、「支柱・杭の選び方」「地形・土質への合わせ方」「開口部のルール」「メンテナンスの習慣」といった、現場のひと工夫にあることが多いです。
- 初めての方は、被害状況と守りたい範囲・予算を整理したうえで、農業屋オンラインショップや店舗で資材を比較しながら、「今年どこまで対策するか」を一緒に考えていくのがおすすめです。
次のアクション
ここまで読んで、「うちの畑にもそろそろ本格的な害獣対策柵が必要かもしれない」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。とはいえ、実際にどの防獣フェンスや防獣ネット・電気柵を選び、どのくらいの範囲を囲うかを一人で決めるのは簡単ではありません。
そんなときは、まず農業屋オンラインショップで防獣フェンス・ネット・支柱・電気柵などのカテゴリを眺めながら、「このくらいの規模と予算なら現実的かな」というイメージをつかんでみてください。そのうえで、具体的な商品選びや設置方法については、お近くの農業屋の店舗やお問い合わせフォームからご相談いただければ、スタッフが現場の状況を伺いながらアドバイスいたします。
被害が深刻になる前の早めの一歩が、作物と畑を守る大きな力になります。無理のない範囲でできるところから、いっしょに害獣対策を進めていきましょう。
